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NGな矯正治療:転医症例Case4


次回で矯正治療は終了と言われたけど、出っ歯のままでうまく咬めない!

再治療開始年齢:30歳1か月
当院での動的治療期間:1年8か月
前医での治療:家から近い矯正歯科という理由で前医を受診。上顎左側第一小臼歯、上顎右側智歯、下顎右側中切歯、の合計3本を抜歯し、上下顎マルチブラケットにて治療を行っていた(約1年間)。
主訴:次回で矯正治療が終了だと言われたが、出っ歯のままでよく咬めない。何かおかしい。

保定期間:現在も保定中(保定4年経過)※保定期間は通常2年~3年(状態により異なります)
通院回数:3~4週間に1回程度、保定期間は4~6か月に1回程度
治療費の総額の目安(自費):2期治療:総額約67万~92万円 保定観察料:3千円/1回
副作用・リスク:歯根吸収が起こるリスクがあります。矯正治療中は歯磨きしにくい部分ができるため虫歯や歯周病になるリスクが高くなります。
※記載の治療費は治療当時の金額(税込)です。

これで終わりですか? 歯を並べただけ?

こちらの写真は、当院に来られた初診時のものです。マルチブラケットでの治療が次回で終わることになっているとのお話でしたが、上顎前歯が前突したままで、上下の歯がかみ合っていません。1番奥の歯(第二大臼歯)に装置は付けていなかったそうです。

以前かかっていた歯科医院で、上顎左側第一小臼歯と上顎右側智歯、下顎右側中切歯の合計3本を抜歯し矯正治療を始め、担当医にこの状態で治療は終了ですと言われたため、不審に思い、アイウエオ矯正歯科医院に相談に来られました。

前医では矯正治療が約2年、保定期間が約1年の予定と説明を受け、数十万円を支払ったそうです。

抜歯は必要ですが、抜くべき歯は適切ですか?

簡単にお話を伺ったところで、前医で抜歯をしたという歯の位置が気になりました。
こちらの患者さんは前医で治療を開始する前の資料(口腔内写真をプリントしたもの)をお持ちでしたので、さっそく見せていただきました。


前医で撮った治療前の写真

こちらが、前医で治療を開始する前の患者さんのお口の写真です。患者さんが治して欲しかったのは、出っ歯と前歯のでこぼこだったそうです。
治療を開始する前と比べると確かにでこぼこは取れていて、一応歯が並んでいるように見えますが、出っ歯が治ったとはいえないお口です。さらに上下の歯がかみ合っていないのも問題です。

抜歯部位は、上下・左右どちらもバラバラです。左右非対称の抜歯をおこなうことは珍しくありませんが、それはあくまでもかみ合わせのバランスが取れることが前提です。こちらの患者さんの場合はどうでしょうか?
写真だけでは断言できませんが、簡単に早くでこぼこを治そうとして抜歯部位を決めたのかもしれません。出っ歯が治らなかったのも、上下の歯がかみ合わないのも、この抜歯部位に原因があるように思われます。

アイウエオ矯正歯科医院での治療

検査

詳しく検査をしてみると、下のあごが右に曲がっており、上下の正中はそろっていますが、顔の正中から左へ約2ミリずれていました。始めと比べると並んではいますが、上の前歯は前に出ており、横(側方歯)がかみ合っていませんでした。第二大臼歯には矯正装置が着いていませんでした。かみ合わせが不安定でどこで咬んでいいか分からない状態になり、口を開けるときに「カクッ」と音がするとのことでした。

治療方針

上前歯の突出とかみ合わせを治療する目的で、上下顎とも抜歯をおこない、マルチブラケット装置を用いたスタンダードエッジワイズ法(与五沢エッジワイズシステム)に切り替えて矯正治療を行いました。上の歯は右の第一小臼歯と左の親知らずの2本を再治療開始時に抜歯し、下は左右の親知らずの2本を治療後に抜歯する予定です。

治療結果

こちらのケースは、前医で下の前歯を1本抜歯されていたので、歯牙サイズは計算上、上の前歯で約6ミリ大きくなっていました。できるだけ犬歯にガイドを付与するため、上前歯を左の側切歯から右の犬歯の間で約1.5ミリスライスしました。このことは再治療開始前に患者さんに説明し了解を得ていました。
歯の形が縦長でこれ以上は削りすぎると当時は感じていましたが、もう少しスライスできたかもしれません。

また、下顎右方偏位が著しく、左右のトルクを顎偏位にあわせて入れていました。仕上げのアイデアルアーチは8か月間使用しましたが、もっと強めにトルクを入れる、あるいはアイデアルアーチの期間を長くする方がよかったかもしれません。再治療の難しさに始終悩み考え続けたケースでした。

前医で下の前歯を1本抜歯されており、前歯を3本で揃えることになったため、上下の歯の正中が合っていませんが、上の歯は後ろに下がり、上下の歯のかみ合わせも良くなりました。

レントゲンでみると、歯の根っこは平行に並んでいて、あごの関節に異常はありませんでした。もちろん安定して噛むことができるようになっており、機能的にも問題ありません。

ただ歯を抜けばいい、というわけではない


当院初診時(30歳0か月)  当院での治療後(31歳9か月)

NGな矯正治療:転医症例Case1では抜歯が必要なのに抜歯をしなかったために出っ歯になってしまった方の再治療例でしたが、今回は、患者さんの理解を得て抜歯をしたのにもかかわらず、歯の突出を改善することができなかったケースの再治療例です。

原因は、どの歯を抜歯すべきかの判断を誤ったことにあります。
歯を並べるだけでなく、かみ合わせも見た目もきれいにするには、どの歯を抜歯するかが大切です。左右の歯の本数が同じでありさえすればいいというものではありませんが、中途半端な抜歯は「上下の正中を合わせて正しいかみ合わせを創る」ことも「見た目をより美しくする」ことも困難にします。

結果として、当院の再治療で歯並び・かみ合わせは改善されましたが、前医の不適切な抜歯のため下の前歯が3本だけになり、上下の正中が合わない状態を治療のゴールとせざるをえませんでした。
正中が合わなくなることは患者さんにご了解いただいていましたが、最初から当院で治療をすることができていればと残念に思います。

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